DV-2020と呼ばれるグリーンカードの抽選について、通常であれば当選者が発表された後、約1年の間にビザが発行されるとされていました。その後トランプ大統領の発表により、規制がかかり、多くの当選者がグリーンカード取得の機会を失いました。その中には大使館での面接通知を受け取ったものの、その後面接がキャンセルされてしまい、ビザの発行を受けられない人もいると聞きます。
トランプ大統領の規制により各国の大使館は抽選によるグリーンカード申請手続きを中断していました。しかしその後、グリーンカード当選者のグループによる集団訴訟が行われ、その結果、連邦裁判所は、抽選による移民ビザの発行手続きを各大使館は進めるべきであるとの判断を下しました。しかし、ここでの連邦裁判所の判断では、一定日までという期日指定があり、問題を生じさせました。例えば、現在アメリカにいるために、日本に行ったとしても一定期間の自宅待機を余儀なくさせられ、大使館の面接に行けなくなる、または面接に必要な書類の準備が間に合わない、など、さまざまな理由により、約5万の移民ビザ発行枠のうち約4万のビザが発行されないままという結果に至りました。
今年から、国民の雇用を守り治安を維持するためとして、入国審査の厳格化や不法入国の取締り強化など強硬な移民政策を推し進め、不法入国を防ぐための国境の壁の建設や難民の受け入れ制限など、国外からの人の流入を抑える政策を相次いで打ち出したトランプ大統領と代わり、移民はアメリカの成長の原動力で国の根幹を成すものだとして、適切な入国管理を行ったうえで移民を受け入れていくべきだと主張するバイデンが大統領に就任しました。
国内で暮らす1100万人に上るとされる不法移民の市民権の取得に道筋をつけるほか、幼いときに親に連れられて不法入国した人たちの強制送還を猶予するDACA(ダカ)と呼ばれるオバマ前政権の政策を復活させるとしています。いくらか移民ビザの取得にも良い影響があると考えられますが、しかし移民ビザに関しては、これまでと変わらずに、複数のケースを想定して行動することが重要です。まず、グリーンカードを取得できることが確定したわけではないので、グリーンカードが取れることを前提に今後の予定を組まないこと。仮に面接を受けることができたとしても、条件がそろわず取得できない可能性もありますので、例えば、もし現在何らかのビザを保持していて、アメリカで就労しているのならば、現在の会社を通してグリーンカードの申請を行うことも可能です。グリーンカードは最も発行の条件が厳しいビザの一つですので、特定の方法に拘らず、あらゆる方法を抽選の申請手続きと並行して行うことが重要です。一方で、面接の通知が来ても機会を逃さないよう、日本への渡航予定や、健康診断の準備、書類に不備は無いように、十分な準備をしておくことも重要です。丸山修 三和一善
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